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放射線Q&A:放射線関係 | 放射線医学総合研究所 1

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放射線Q&A:放射線関係 | 放射線医学総合研究所
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放射線って何ですか?

放射線とは「波長が短い電磁波」及び「高速で動く粒子」のことを言います。

波長が短い電磁波

放光は波長により色が変わります。波長が長ければ赤、更に長くなると赤外線になります。逆に短ければ、青、紫を示し、更に短くなると紫外線になります。紫外線より波長が短くなるとX線と呼ばれます(境目はかなり曖昧です)。

γ線とX線と発生方法の違いで定義されています。そのため、波長でγ線とX線を区別する事はできません。

高速で動く粒子

人も地球も宇宙もみんな、原子や分子でできています。この原子を構成している電子、陽子、中性子、さらにそれらを構成してる素粒子、逆にそれらから構成されている原子核などが、高速で動いているものも放射線と呼ばれています。

原子の構成について詳しい事をお知りになりたい方は・・・
原子の基礎

この放射線には、α線やβ線のように放射性物質から放出されるものと、加速器から放出されるもの等があります。

光の正体を光子という粒子として考えることもあるので、放射線は全て「粒子」が正体ということもできます。

それぞれの放射線について詳しい事をお知りになりたい方は・・・
放射線の種類

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放射性核種って何ですか?

元素は、定義された時、永久に変わらないものだと思われていました。しかし、元素の中には時間が経つと別のものに変わる事がわかりました。

さらに今まで不変のものと思われていた元素の中にも、別の元素に変わるものがあることがわかりました。詳しく調べてみると、同じ元素の中でも原子の重さが違うものがあり、原子の重さによってあるものは不変であったり、あるものは時間が経つと別の元素に変わってしまうことがわかりました。

カリウム40の場合、原子核に電子が吸収されて元素が変わる(「壊変」と言います)

時には、原子核から電子が出て元素が変わることも(「壊変」と言います)

放射線の特徴って何ですか?

放射線の一種であるX線には次のような特徴があります。

物質を透過する性質(透過作用)

物質を透過するさい、その物質を作っている原子や分子にエネルギーを与えて、原子や分子から電子を分離させる性質(電離作用)

物質にあてると、その物質に特有な波長の光を放出する性質(蛍光作用)

写真フィルムを感光させる性質(感光作用)

これらの性質は、放射線の種類によって持っていないものもあります(例 : 中性子線の電離作用)が、大体はこれらの性質を持っています。

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放射性核種の特徴って何ですか?


半減期のイメージ

放射性核種は放射線を放出するという特徴があります。放出する放射線にはα線、β線、γ線及びX線がありますが、これらのうち全てを出す核種もあれば、一種類しか出さない核種もあります。α線、β線、γ線が持つエネルギーは放射性核種によって決まっています(複数の値をとるものもある。β線は最大値のみ)。そのため放射線のエネルギーを調べる事によって、エネルギーの元になっている放射性核種を決めることができます。

放射性核種は一定の時間に一定の割合で別の核種に変わる(崩壊、壊変と呼ぶ)という特徴があります。つまり放射性核種が最初の数の半分になるまでの時間と、さらに半分になるまでの時間は同じです。最初の数の半分になるまでの時間を「半減期」と呼び、この値は、放射性核種によって決まっています。

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放射線はどこにあるの?

自然界にある放射線

宇宙が生まれた時に放射性核種も生まれました。その後も、放射性核種は宇宙で作られ、地球ができたときに他の元素とともにそれらの放射性核種を取り込みました。地球ができてから長い時間経つ間に、短い半減期の核種は消えてしまいましたが、長い半減期を持つ放射線は今でも地球上に存在しています。

また、地球上には別の星が爆発した時や輝く時等に発生する放射線が降り注いでいます。この放射線は高いエネルギーを持つ特別な放射線である時もあります。この放射線が、安定な核種を放射性核種に変えてしまう時があります。

人工的な放射線

1890年代、高い電圧を発生させる事ができるようになって、X線などを発生させる装置が作られるようになりました(X線が発見されたのは1895年ですが、それ以前にX線を発生させた人は何人かが知られています)。また加速器や原子炉を用いる事により、人工的に放射性核種を作ったり放射線を発生させることができるようになりました。人工的な放射性核種を作ったのは有名なマリー・キュリーの娘、イレーヌ・キュリーと夫のジョリオ・キュリーです。この夫婦はこの発見によりノーベル賞を貰っています。また加速器を開発したのは、ヴァン・デ・グラフやコッククロフト、ウォルトンがいます。彼等もノーベル賞を貰っています。

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放射線と放射能はどうちがうの?


放射能

放射線を出す能力 (文例:この鉱石は「放射能」が高い)

放射線を出す元素及び物質 (文例:事故で「放射能」が漏れる)


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放射線の単位は何かな?

放射能:ベクレル(Bq)

ある物体に含まれる放射性同位元素が1秒間に壊れる数(放射性物質の量も表します)。放射性同位元素が1個壊れる時に必ず放射線を1本出すというわけではないので、カウント数と放射能(Bq)は一致しません。放射性物質によって、放射線の性質や、半減期が変わるため、違う核種の放射能を足しあわす事は原則としてできません。以前はラジウムを元にして作られたキュリー(Ci)という単位が使われ、1Ci=3.7×1010Bqでした。

電子ボルト(eV)

1本1本の「放射線」がもつエネルギーです。定義としては電荷が1の電子等が1Vの間を移動した時に得るエネルギーです。エネルギーの単位なので全ての放射線で使え、1eV = 1.6×10-19Jになります。

照射線量:クーロン毎キログラム(C/kg)

放射線のもつエネルギーを空気のイオン化する能力で示したもの(X線、γ線のみ使用)。直接測定する事ができるため、長い間この値を放射線計測量として使われていました。以前はレントゲン(R)という値が使われ、1R=2.58×10-4C/kgでした。

吸収線量:グレイ(Gy)

ある物質によって、吸収された放射線のエネルギー。1Gyは物質1kg当たりに1Jのエネルギーが吸収されることを意味します。照射された放射線を物体が全て吸収するわけではないので、照射線量と吸収線量は一致しません。以前はラド(rad)という単位が使われ、1rad=0.01Gyでした。

等価線量or実効線量:シーベルト(Sv)

放射線の照射による人体への晩発的な影響を表わす。吸収線量に放射線荷重係数を掛け合わせた値で示します。X線の場合、1Gy当たった時が1Svになります。

線量:グレイ・イクイバレント(GyEq)

放射線の照射による人体への急性的な影響を表わす。放射線の影響を、「X線であれば、この程度の線量を浴びた時の影響に相当する」であることを意味します。

放射線は何でも通りぬけるの?

放射線の透過能力

放射線の特徴として物質を通り抜ける性質がありますが、どれほど通り抜けられるかは放射線の種類等によって違います。

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放射線の種類ごとの強さ

放射線荷重係数


放射線荷重係数とは、「放射線の種類や放射線のエネルギーによる「生物学的効果の違い」を補正するための係数」です。(大きい程威力があるということ)

新しい知見に基づいて変更される事があります。

原子の基礎

原子(げんし)
核種(かくしゅ)
ニュートリノ
元素(げんそ)
陽子(ようし)
軌道電子(きどうでんし)
原子番号(げんしばんごう)
中性子(ちゅうせいし)
電荷(でんか)
原子核(げんしかく)
電子(でんし)
同位元素(どういげんそ)
陽電子(ようでんし)

原子(げんし)

物質が化学的に元素としての特性を失わない最小の構成単位。陽子と中性子でできた原子核とその周囲を動く電子からなる。原子の大きさは電子の領域も含めるため10-10mぐらいとなる。

元素(げんそ)

もともとの意味は「全ての根源となり、それ以上分割できない要素」。鉄や金等、原子番号の等しい原子だけからなる物質を示す場合もある。

原子番号(げんしばんごう)

原子核中の陽子の数。陽子の数によって元素の種類、元素の性質(酸やアルカリを加えた時の反応や、酸化させた時の反応等)が決まるので、元素の種類を表す番号ともいえる。

原子核(げんしかく)

原子の中心に存在しているもの。原子の質量の大部分は原子核のものである。原子核の大きさは約10-14mで、電荷をもつ陽子と電気的に中性な中性子から構成されている。原子番号Zの原子核は陽子数がZ個存在し、陽子数と中性子数Nとの和を質量数A(=Z+N)という。原子核を構成している陽子及び中性子は核子と呼ぶ。

同位元素(どういげんそ)

元素の種類(原子番号、陽子数)が同じでも中性子の数が異なるもの。原子の重さが違う。

核種(かくしゅ)

原子番号Z、質量数A、中性子数Nによって決められる原子または原子核の種類。普通は安定あるいは準安定なエネルギー状態にあるものが一つの核種として認められる。核種を意識して表記する場合、元素記号と質量数を記載するが、その場合、準安定なエネルギー状態にあるものは質量数にmやnをつける。(例:Tc-99m)

陽子(ようし)

原子核を構成する素粒子の1つ。中性子とともに各種の原子核を構成している。質量=1.67252×10-27kg。+1の電荷を持っている。

中性子(ちゅうせいし)

原子核を構成する素粒子の1つ。ニュートロン(nとも書く)という。電荷は0、質量は1.6749×10-27kgで、陽子や(陽子+電子)よりも重い。単独の状態では不安定で、半減期12.5分でβ崩壊して陽子に変わる。原子番号0として扱われる事もある。

電子(でんし)

原子核とともに原子を構成する素粒子の一つ。原子核のまわりを回っている電子を軌道電子(殻電子または束縛電子)といい、単独で存在している自由電子とは区別されている。電子は電荷を持ち、静止質量はme=9.1094×10-31kg(陽子や中性子の約1/1800)である。電子には陰電子(e(-))と陽電子(e(+))の二種類があり、陽電子は正の電荷をもっているが、通常電子といえば、陰電子のことを示す。

陽電子(ようでんし)

陽電子は正の電荷をもっている電子。β+崩壊の時に発生する。陽電子は陰電子と衝突すると消滅し、二本のγ線を放出する。

ニュートリノ

中性微子とも呼ばれ、記号νで表される。電荷を持たず、静止質量は電子の質量よりも小さい素粒子。物質との相互作用は殆どない。原子核がβ線を放出する際、ニュートリノも一緒に放出する。

軌道電子(きどうでんし)

原子核のまわりを一定の軌道を画いて運動している電子。軌道には原子核に近い方からK、L、M、Nと名付けられ、原子核に近い方がエネルギー準位が低いとされている。

電荷(でんか)

粒子が帯びている静電気の物理量。陽子は1.60210×10-19C(クーロン)、及び電子は-1.6022×10-19Cの電荷を帯びている。この電荷量をeで表すが省略される事も多い。

放射線の種類

α線
β線
γ線
X線
中性子線
陽子線(ようしせん)
電子線(でんしせん)
重粒子線(じゅうりゅうしせん)

α線

アルファ(α)粒子ともいわれ、ヘリウム(He-4)の原子核がその正体。+2価の電荷をもつ。α粒子(α線)を放出する壊変を行う場合、原子核は、原子番号(陽子の数)が2、質量数が4、小さい原子核になる。α線は電離作用が強く、空気中では線源から数cmで止まってしまう程、物質中の飛程が短い。そのため紙等でも十分遮る事ができる。α線を放出する核種は内部被曝に注意する必要がある。霧箱では、太い白い固まりの飛跡が見える。検出にはZnSシンチレーションカウンターを用いる。

β線

ベータ(β)粒子ともいわれ、電子1個がその正体。その崩壊のタイプによって陰電子の場合(β-)と陽電子の場合(β+)がある。普通β線という場合はβ-を示す。β-粒子(β線)を放出する壊変を行う場合、原子核の原子番号(陽子の数)が1増え、β+粒子(β線)を放出する壊変を行う場合、原子核の原子番号(陽子の数)が1減る。この壊変では質量数が変化しない。β線の透過力は弱く、通常のエネルギーのものは1cm程度のプラスチック板で遮る事ができる。β線の検出にはGM計数管、電離箱等がある。尚、γ線の内部転換または光電効果による二次元電子線、人工的につくられた高エネルギー電子線などもβ線に含める事もある。

γ線

励起状態にある原子核がより安定な状態に移るとき、または粒子が消滅するときに生ずる電磁波。その波長は10-12〜10-14m、エネルギーにして0.01〜100MeV 程度である。γ線は核壊変あるいは核反応に付随して放出され、核種に固有な一定のエネルギーを持つ。一回の壊変で二種類以上のγ線を出す核種もある。原子核に基因するのがγ線であり、原子に基因するのはX線である。γ線は透過力が強く、一般に鉛で遮蔽する。検出にはGM計数管、シンチレーションカウンター、電離箱等が用いられる。

X線

紫外線よりも短い波長を持つ電磁波の一種。X線には特性X線と連続X線に分かれる。特性X線は電子が励起されたり、電子が原子からはじき出された状態から安定な状態に戻る際に、そのエネルギーを電磁波(X線)の形で放出されたものである。連続X線は高速に加速した電子が原子によって失速したときに発生する電磁波である。X線は発生源が異なるだけで、γ線と同一である。γ線と同様に透過力が強いため、鉛で遮る。検出はγ線と同じものが用いられる。

中性子線

neutron radiation. 中性子は原子核を構成する素粒子の一つで、中性子線は中性子の流れをいう。中性子は電荷を持たないので原子核内に容易にはいることができ、核反応を起こさせるのに使うことができる。

中性子線はエネルギー(または速度)によっていくつかに分類される。

約0.025eV、熱中性子

約1eV、エピサーマル中性子

0.03〜100eV、低速中性子

0.1〜500keV、中速中性子

500keV以上、高速中性子

止める場合は、鉛等で速度を落としてから、水、コンクリートのように水素原子をたくさん含むものに当てて止める。測定検出器にはBF3計数管、LiIシンチレータ、半導体検出器等がある。

陽子線(ようしせん)

proton radiation. 陽子は原子核を構成する素粒子の一つで、陽子線は陽子の流れをいう。陽子を加速器で高エネルギーまで加速すると透過力の大きい電離放射線となる。陽子のもつ正の電荷により飛跡付近の電子に力を及ぼして、エネルギーを失い減速する。エネルギーを失い止る寸前になると力を及ぶ時間が長くなり電離量は急速に増加する。最後に速度が0になったところで止まり、その先の物質とは一切相互作用しない。

電子線(でんしせん)

electron radiation. 電子線は通常の電子の流れと違い、外界に飛び出す事ができるくらい速い流れの電子の束。自由電子に電圧をかける事により加速し、薄膜を通過して外界に飛び出させることができる。陰極線も電子線の一つ。

重粒子線(じゅうりゅうしせん)

原子核の構成要素である陽子と中性子(これらを核子という)により構成されている粒子(一部の素粒子を含める場合もある)を加速器で加速したもの。宇宙線に含まれている場合もある。放医研の重粒子線は炭素等の原子核を使っている。

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