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中国の「3D複製」驚異の革新 新たな摩擦の懸念も Yahoo!ニ
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中国の「3D複製」驚異の革新 新たな摩擦の懸念も
産経新聞 [12/8 13:00]
全米を驚かせるニュースが流れたのは11月8日のことだ。
テキサス州の銃器専門メーカーが、データをもとに立体造形物を複製できる3Dプリンターを活用し、軍用自動拳銃「M1911」の作製に成功した。実弾50発以上を発射、約27メートル先の的に命中させて実用性の高さも証明した。
3Dプリンターは、拳銃にとどまらず、他の兵器でも基幹部品を入手すれば容易に複製できる可能性があり、軍事機密が漏れるのと同様の脅威だ。
米国防総省は警戒を強めており、これまでも知的財産の問題などで先進国と摩擦を起こしてきた中国の動向に神経をとがらせている。
◆完成度高く安価
東京・秋葉原。米国のIT機器販売会社のブルレーが9月、3Dプリンターのショールームをオープンした。
展示品の大半は30万円程度の米国製だが、客の関心を最も集めているのは19万9800円という格安製品。
中国・北京の機械メーカー、デルタ・マイクロ・ファクトリーが開発した。
この製品は既に米国でも販売されており、現地の専門誌でトップクラスの完成度という高評価を得た。
日本でも計測機器大手のキーエンスなどが3Dプリンターを製造・販売しているが、海外進出の事例はない。
「中国は日本を早々と追い抜き、3Dプリンター先駆者の米国製品に、品質でも販売網でも肩を並べ始めている」。
ブルレー日本支社長の杉本健人はこう指摘する。
◆米抜き首位狙う
日本や欧米が注目する1冊のリポートがある。
米調査会社のウォーラーズ・アソシエイト社が年に1回発行する「ウォーラーズ リポート」。
3Dプリンターに関して世界的に権威の高いリポートだ。
近年のリポートにはこう明記されている。
《中国の華中科技大学は3Dプリンターで目覚ましい活躍を見せる世界最高の実力を持つチーム》
華中科技大学は、低価格で高性能の3Dプリンターを実現する研究成果を数多く生み出してきた。
ほかにも西安交通大学や清華大学などが、米国企業が製品化に取り組み始めた時期とほぼ同じころの1980年代から3Dプリンターの研究開発を進めてきたという。
このリポートなどによると、2012年の中国の3Dプリンター普及台数は米国の4分の1。ただ16年には、中国の3Dプリンター市場が100億元(約1600億円)と世界最大に成長すると予測されている。
米国企業が保有する3Dプリンター関連の基本的な特許の期限が次々と切れ始めている問題もある。
中国が米国を追い抜くことが現実味を帯びている。
◆模倣被害急増も
フランス・パリが本部の国際通商組織「国際商業会議所」(ICC)などによると、3Dプリンターがほとんど使われていない現在でも模倣品の被害額は全世界で年間50兆円以上に及ぶ。
特許庁が日本企業約400社を対象にした調査では、平成19(2007)年度に数百億円だった被害総額が23年度には1千億円を突破した。
日本の家電メーカーのある幹部は「3Dプリンターの登場で日本の模倣被害は今の倍に膨れあがる」と危機感を募らせる。
米国は正式な複製部品と偽造コピー部品を区別する3Dプリンター用ツールの開発に取り組むなど対策を強化しているが、中国はそれを上回るスピードで技術開発を進めている。
一方の日本は、経済産業省が10月に3Dプリンターの活用方法などを議論する会合を初めて開いたばかり。
模倣品の増加や犯罪などを封じ込める対策は議論されていない。
「製造業の次の革命は米国が起こす」
米大統領のオバマは2月の一般教書演説で、米製造業の復活を創出する技術として、3Dプリンターの活用を取り上げた。
その技術革新が、また新たな摩擦を生みつつある。(敬称略)