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結核性髄膜炎[編集]
詳細は「結核性髄膜炎」を参照
亜急性髄膜炎の鑑別のひとつである。
真菌性、梅毒性、癌性髄膜炎との鑑別を要する。
症状[編集]
無気力、過敏、食欲不振、発熱、頭痛、嘔吐、痙攣、昏睡である。
行動の変化をみとめることもある。
また、多部位の結核菌感染の症状を認めることがある。
身体所見[編集]
項部硬直、脳神経麻痺症状を認めることがある。
検査所見[編集]
髄液は黄色くて、cell 100-500(単核球優位)、高蛋白、低グルコースを示す。
細菌性髄膜炎と比べて明らかに弱い所見を示す。
髄液の塗抹検査は通常陰性で、培養も最大25%の症例で陰性である。
髄液PCRは感度が高い。
治療法[編集]
肺結核症と同様である。
イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミドは髄液移行性がよい。
エタンブトール,ストレプトマイシンは基本的に髄液移行性は不良であるが、髄膜の炎症が認められる場合には髄液中に移行する。
デキサメタゾンは細菌性のようなエビデンスはないが、用いることがある。
結核性リンパ節炎[編集]
頚部腫瘤の鑑別のひとつである。
感染症による反応性リンパ節腫脹や、腫瘍性、サルコイドーシス、猫ひっかき病、組織球性壊死性リンパ節炎(菊池病)、自己免疫性リンパ節炎との鑑別を要する。
診断は、針吸引による細胞診、塗抹、培養、PCRによる。
リンパ節生検が必要なこともある。
結核性心膜炎[編集]
先進国ではまれである。
発熱、寝汗、疲労が数週間から数ヶ月続く。
心嚢水の塗抹・培養による結核菌陽性率は低い。
心膜生検による肉芽腫の証明や培養、PCRは診断を確定するが侵襲性が高い。
他部位における結核菌の証明によって診断を推定するのが一般的であると考えられる。
治療は肺結核と同様であるが収縮性心外膜炎を後遺症として残すことがある。
結核性腹膜炎[編集]
症状[編集]
微熱、腹痛、食欲不振、体重減少など非特異的である。
検査所見[編集]
腹水の抗酸菌塗抹検査は通常陰性であり、培養の陽性率は20%にすぎない。
ただし大量の腹水を培養することにより85%まで高めることができる。
腹水のアデノシン・デアミナーゼADA値は肝硬変による腹水がある患者では、結核性腹膜炎の合併を予測できると示されている。
しかしその他の場合には有用ではない。
診断の確定は腹腔鏡検査であり、特徴的な腹膜結節を認め腹膜生検で肉芽腫を認めることができる。
治療法[編集]
肺結核と同様である。
腸結核[編集]
腸結核は典型的には回盲部に起こり、クローン病との鑑別が問題となる。
ただしその他のどの部位もおかされうる。
症状[編集]
慢性的な腹痛、閉塞症状、体重減少、下痢などである。
画像所見[編集]
50%未満の患者では活動性肺結核を伴い、胸部レントゲンで認めることができる。
結腸では、大腸内視鏡検査にて多発潰瘍、潰瘍化した集塊、無茎性ポリープ、小憩室を認める。
診断確定は、大腸内視鏡下の生検にて乾酪性肉芽腫を認めたり結核菌培養が陽性であるときである。
生検標本のPCRによる結核菌DNAの検出は、迅速で最も感度が高い。
2007年現在、ダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡により小腸結核も診断できるようになった。
合併症[編集]
腸閉塞、出血、瘻孔形成がおこることがある。
治療[編集]
肺結核と同様である。
腎結核[編集]
無菌性膿尿の原因のひとつ。
漆喰腎を発症する。
尿培養にて結核菌が証明される。
治療法は、肺結核と同様である。
副腎結核[編集]
慢性副腎不全の鑑別のひとつ。
特に結核症の頻度が高い地域では慢性副腎不全の主要な原因である。
自己免疫性副腎不全、Waterhouse-Friedrichsen症候群、抗リン脂質抗体症候群、抗凝固薬の使用による両側副腎出血、転移性腫瘍など鑑別は多岐にわたる。
結核性卵管炎[編集]
骨盤痛と、骨盤腫瘤を生じ、発展途上国に多い。骨盤内炎症性疾患PIDの鑑別診断のひとつである。
筋骨格系の結核症[編集]
胸椎・腰椎の結核症や単関節の結核症(主に膝関節)が知られている。
代表的な疾患は脊椎カリエスである。
診断は、骨・骨膜・所属リンパ節生検による乾酪壊死の証明や関節液、膿汁の塗抹・培養・PCRである。
鑑別疾患は、亜急性・慢性の感染性関節炎や骨の感染症、関節リウマチ、痛風、転移性腫瘍である。
治療は、肺結核と同様であるが滑膜切除術をおこなうこともある。
結核性脊椎炎[編集]
結核性脊椎炎は別名 Pott's病とも呼ばれる。
治療には、抗結核薬を12〜18ヶ月間用いる。
滑膜切除術[編集]
結核性関節炎、慢性関節リウマチ、慢性化膿性滑膜炎、色素性絨毛結節性滑膜炎、滑膜性骨軟骨腫症などの疾患では滑膜に炎症や腫瘍形成を生じるため、これを切除する滑膜切除術(英:synovectomy、独:Synovektomie)が行われる。
これにより疼痛、腫脹などの局所症状を改善し、関節破壊の進行を防ぐ。
関節軟骨、軟骨下骨質に炎症が波及しない時期に行うものを早期滑膜切除術とし、炎症の波及後に行うものを晩期滑膜切除術とするが、早期の方が機能的予後が良好である。
皮膚結核[編集]
皮膚結核は結核菌が血行性またはリンパ行性、まれに外部から直接感染することによって発症する肺外結核の一つである。
病巣から結核菌が証明されるか否かによって分類があり、前者を真性(真正)皮膚結核、後者を結核疹と呼ぶ。
そして各々の分類にさらに多くの疾患が属する。
なお、皮膚結核の別称として狼瘡(ろうそう)という語があり、英語ではループスと呼ばれる。
現在は自己免疫疾患・膠原病として知られる全身性エリテマトーデスは急性播種状紅斑性狼瘡とも呼ばれるが、その名の語源は発見当時結核性疾患であると考えられたために命名されたものである。
真性(真正)皮膚結核[編集]
このカテゴリーに属する疾患は、病巣に結核菌が証明されるのが最大の特徴である。
従って感染力がある。
皮膚初感染病巣
通常結核は飛沫感染による感染経路を採るが、極めてまれに皮膚に直接感染するケースがある。
これを皮膚初感染病巣と呼び、感染後顔面や四肢に水疱や潰瘍を生じる。
その後リンパ節の腫脹を来たした後ツベルクリン反応が陽性に転じて、病変は瘢痕を残して治癒する。
なお、BCGはツベルクリン反応陰性の場合に接種するが、弱毒化した結核菌を人為的に皮膚から感染させて免疫を獲得させる。
従ってBCGは人工的皮膚初感染病巣ともいえるし、逆に皮膚初感染病巣は天然BCGとも呼べる。
尋常性狼瘡
かつて「ループス」といえばこの疾患を指していた。
真性皮膚結核の中では最も標準的な疾患であり、かつては皮膚結核の中で患者が最も多かった。
顔面を好んで侵し、紅斑が次第に拡大して潰瘍となりやがて瘢痕を残して自然治癒する。
だが再発しやすく同一部位に繰り返し発症し醜い瘢痕となり、さらにはその瘢痕部から有棘細胞癌が発生することがある(狼瘡瘢痕癌)。
皮膚腺病
現在日本で最も多い真性皮膚結核である。
肺などから血行性・リンパ行性に結核菌が散布され、リンパ節で増殖する際に皮膚に病変を形成するものである。
頚部に最も多く病変を形成するが、これは頚部リンパ節結核から皮膚に病変が波及したものである。
最初は赤くしこりを触れる程度であるがやがて腫脹は大きくなり、皮膚を破って膿汁を排出する。
この膿汁には多量の結核菌が存在し、感染原因となる。
皮膚疣状結核
外傷部位などに結核菌が付着して発症する。
肱、膝などの露出部に多く、いぼ状の局面が形成され遠心性に拡大するが中心部は病変が無くなり治癒した状態になる。
獣医や飼育業者に多く発症するが日本ではこのような感染経路はほとんどない。
潰瘍性粟粒結核
肺結核、腸結核、腎結核、膀胱結核などの臓器結核から結核菌が口腔、尿道、直腸肛門に付着し増殖して病変を形成する。
丘疹から始まり次第に潰瘍や局面、壊死などの様々な皮膚病変が多発する。
病変にはチーズ状の塊が厚く付着するがこの中には極めて多くの結核菌が存在する。
この疾患がある患者は概して末期の結核患者であり、大体において死亡する。
現在日本でこのような病変を見ることは少なく、皮膚科の専門書にもまず写真が掲載されていない。
急性皮膚粟粒結核
結核性敗血症である粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)の皮膚病変であり、小児を多く侵す。
丘疹・紅斑・潰瘍・紫斑・壊疽などの多彩な症状が全身に多発する。
非常にまれな病態である。
潰瘍性粟粒結核と同様、皮膚科の専門書に写真が掲載されていることはまずない。