Quantcast
Channel: 神海(シンカイ)‐ハルノウミナナキソナキソ…arena8order 慧會隴
Viewing all articles
Browse latest Browse all 838

6 感染症の歴史 病原体が生物の体に侵入、定着・増殖して感染

$
0
0





#ккк #感染症 #伝染病

ポリオ(急性灰白髄炎)[編集]

詳細は「急性灰白髄炎」、「上田哲」、および「フランクリン・ルーズベルト」を参照

古代エジプト壁画にみられるポリオ

ポリオは、小児に発症が多かったことから「小児麻痺(しょうにまひ)」の名でも知られ、日本での正式名称は「急性灰白髄炎」である。

ポリオの名称は、英語のpoliomyelitisの前半部分(灰白部)に由来しており、中枢神経である脳灰白部と脊髄に病変が生じるところからの名称である。

ポリオは、ピコルナウイルス科エンテロウイルス属のポリオウイルスを病原体とする感染症であり、脊髄神経の灰白質をおかすため、はじめの数日間は風邪をひいたような症状があらわれるが、その後急に足や腕がまひして動かなくなる病気である。

ポリオウイルスに感受性があるのは霊長類だけであり、自然宿主はヒトだけである。

ポリオについても、その歴史は古く、エジプト第18王朝(紀元前1403年−紀元前1365年)の石碑に、片足が萎縮して杖をついた人物が刻されているが、これが症状からみてポリオであろうと推定されている。

日本では、北海道洞爺湖町の縄文時代後期の考古遺跡入江貝塚から出土した女性人骨にポリオ痕跡の可能性が高い遺体が認められるが、日本へのポリオ流入は明治以降であるという有力な反論があり、定説には至っていない。

スラム街の貧しい家庭に未熟児として生まれたウィルマ・ルドルフ

ポリオの医学的な記載は、1840年のドイツのシュトゥットガルト郊外カンシュタットの医師ヤコブ・ハイネ(ドイツ語版)によるものがはじめてであり、1887年にはスウェーデンの小児科医オスカル・メディン(スウェーデン語版)によってポリオのストックホルムでの流行について詳細な報告がなされたことより、ヨーロッパでは当初「ハイネ-メディン病」と称されたこともあった。

ポリオは、19世紀後半から20世紀前半にかけて欧米諸国で大流行し、第二次世界大戦後は世界的に流行した。

ポリオウイルスに感染したとしても、後遺症として麻痺がのこるのは100分の1ないし1,000分の1といわれている。

ポリオ患者として知られる著名人は数多く、そのなかで麻痺がのこったのは不運なケースといえるが、その麻痺を克服して成人後に大きな業績を成し遂げた人も多い。

たとえば、日本社会党委員長であり横浜市長も経験した飛鳥田一雄、ニュートリノの研究で2002年のノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊、1960年ローマオリンピックで女子短距離3種目(女子100m、200m、400mR)で金メダルを獲得したウィルマ・ルドルフなどが知られる。

日本では、1910年代、1920年代、1930年代後半から1940年代後半にかけて、および1960年(昭和35年)に流行している。

とくに1960年春の北海道にはじまった流行では、全国で5,606人と日本史上最大の患者届出があった。

このとき、ワクチン接種を求める世論が大きな高まりをみせ、ジョナス・ソークによるアメリカ製の不活化ワクチンか、ソビエト連邦製の弱毒の生ワクチンの投与しか解決のみえない状況となった。

効果においては生ワクチンの方が優れているが、当時の日本では生ワクチンの安全性は確認されておらず、国産の生ワクチンもなかった。

また、輸入するとしても冷戦のさなかにあって西側に属していた日本は乗り越えるべき課題も多かったのである。

そうしたなか、第2次池田内閣の厚生大臣古井喜実は自由民主党内の反対を抑えて「責任は大臣が持ちます」と宣言して1961年(昭和36年)6月21日にソ連(および一部カナダ)からの緊急輸入が決定された。

7月17日、テレビ司会者の高橋圭三(NHK)が生ワクチンを飲むすがたが放映された。

実は、このポリオ根絶キャンペーンの真の立役者はのちに日本社会党の国会議員となった上田哲であったという。

NHK社会部の放送記者として活躍し、その後NHKの労働組合である日放労の委員長となった上田は、このときポリオ根絶をめざした「上田プラン」を唱えてNHKを動かし、厚生省を動かしたという。

生ワクチン輸入については、のちに松山善三監督の映画「われ一粒の麦なれど」の主題ともなっている。

日本では、こうして世界にさきがけて徹底した全国一斉投与(NID[注釈 5])をおこなって、それが実をむすんで患者数は1963年(昭和38年)には100人以下に激減して、1981年(昭和56年)以降は集団的なポリオの発生は確認されていない。

日本政府は2000年(平成12年)にWHOに対し、ポリオ根絶を報告している。

車いす姿のF.ルーズベルト

なお、ポリオ患者として有名であった人物に第32代アメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズベルトがいる。

1921年にポリオに罹患したF.ルーズベルトはみずからの麻痺症状の治療のために、1926年にジョージア州ワームスプリングスの温泉地に土地を購入して別宅を建てた。

しばしば同地に滞在したため、別宅は「リトルホワイトハウス」と呼ばれ、1945年4月にそこで死去している。

F.ルーズベルトは、みずからの障害体験から障害者支援には積極的で、大統領就任後、ポリオ対策のために国立小児麻痺財団(the National Foundation for Infantile Paralysis)[注釈 6]を設立して募金活動をおこない、ワームスプリングスには彼の死後、ルーズベルトポリオ病院が建てられた。

ただ、かれ自身は日常生活において車いすを用いていたものの、その姿をマスメディアにみられるのを嫌い、車いす姿の写真も2枚しか残っていない。

また、メディア側もあえてそのことを報道しなかったため、当時のアメリカ国民は大統領に麻痺があったことはほとんど知らなかったという。

2003年、F.ルーズベルトは実はポリオではなく、神経疾患であるギランバレー症候群であったという記事がアメリカ合衆国の医学情報誌に報告された。

それによれば、39歳という壮年に達してから発症したことや、彼の症状8項目のうちの6項目がギランバレー症候群に特徴的な症状を示し、ポリオを示す症状は2項目にすぎなかったことから、ギランバレー症候群であった可能性が高いということである。

ワームスプリングスのポリオ病院も、こんにちではリハビリテーション施設に変わっている。

近年、日本ではポリオ感染による障害者の数が増加し、深刻な問題となっている。

生ワクチンの投与は、上述のように、大流行時の緊急使用には際だった効果を有した実績があるものの、このワクチンによる免疫獲得率の低い世代が親になったこんにち、生ワクチンがむしろ小児麻痺の主な原因となっており、生ワクチンに使用されたウイルスが強毒化する事態も発生している。

被害者からは医療行政への抗議とともに不活化ワクチンへの切り替えを求める声が出ており、2012年4月19日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会が開催され、承認申請が行われている不活化ワクチンのうち1種については製造・販売を行なっても問題ないとの結論が出て、同年9月1日よりポリオの定期接種は生ワクチンから不活化ワクチンに切り替えられた。


エボラ出血熱[編集]

詳細は「エボラウイルス属」および「エボラ出血熱」を参照

2000年にウガンダで流行した際の隔離病棟に収容された患者

エボラ出血熱は、1976年6月のスーダンのヌザラ(Nzara)という町で倉庫番を仕事にしていた男性が急に39度の高熱と頭や腹部に痛みを感じて入院、その後、消化器や鼻から激しく出血して死亡したことを最初の確認例とする新興感染症である。

そののち、その男性の近くにいた2人も同様に発症して、これを発端に血液や医療器具、エアロゾルを通して感染が広がった。

最終的にヌザラでの被害は、感染者数284人、死亡者数151人というものだった。

この最初の男性は、ザイール(現コンゴ民主共和国)のエボラ川付近の出身で、森に深く入って炭焼き小屋に長く生活したことがあり、病原菌との関係が考えられるため、この病気を引き起こしたウイルスの名前を「エボラウイルス」と名づけ、病気も「エボラ出血熱」と名づけられた。

症状は全身の出血のほか、臓器の壊死もある。

その後エボラ出血熱はアフリカ大陸で10数回にわたって突発的に発生・流行しており、感染したときの致死率は50パーセントから89パーセントの範囲にあって非常に高く、また有効な治療法もないことから非常に怖れられている。

ただし、血液感染のため、患者の血液に触れなければ二次感染はおこらず、アフリカにおいては病院の注射器や看護者を通じて感染が広がったものである。

この感染症は、熱帯雨林の開発によって人が新たな病原体に遭遇したもので、ガボンではチンパンジーから感染したといわれているが、ウイルスの自然宿主はまだわかっていない。

2005年12月、ガボンの医学チームは、感染するが発病していないというコウモリを発見しており、宿主の可能性を報告した。


エイズ[編集]

詳細は「後天性免疫不全症候群」、「ヒト免疫不全ウイルス」、および「薬害エイズ事件」を参照

レッドリボン

1981年6月にアメリカのロサンゼルスに住む同性愛男性4人に初めて発見され症例報告された新興感染症である。

ただし、これはエイズと正式に認定できる初めての例で、疑わしい症例はすでに1950年代から報告されており、中部アフリカ各地などで「痩せ病」(slimming disease)という疾患群が報告されていた。

1982年7月、この病気はAIDS(後天性免疫不全症候群)と名づけられ、1984年にはエイズウイルスが発見された。

1981年の症例報告後、わずか10年程度で感染者は世界中で100万人にまで広がった。

日本では、1986年(昭和61年)の松本事件、1987年(昭和62年)の神戸事件・高知事件など「エイズ・パニック」と称される一連のパニックが引き起こされた。

これは、行政当局や医療機関のあり方に問題がなかったわけではなかったが、むしろパニックに仕立て上げていったのはマスメディアであった。

アメリカでエイズが広がり始めた当初、原因不明の死の病に対する恐怖感に加えて感染者に同性愛者や麻薬常習者が多かったことから、感染者に対して社会的な偏見が持たれることも多かった。

アメリカは、「エイズ・パニック」を体験した最初の国であった。

現在は、病原体としてヒト免疫不全ウイルス(HIV)が同定され、異性間性行為による感染や出産時の母子感染も起こりうることが広く知られるようになった。

しかし、未だこの病気に対する知識の不足から来る差別や偏見がみられる。

日本では、おもに血友病の患者に対して非加熱製剤を治療に使用したことから、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生む薬害エイズ事件をひきおこし、大きな社会問題となった。

それ以外でHIVに感染する可能性は、HIV感染者との性行為であるため、相手がHIVに感染していないことが確実でなければ性行為をおこなわないか、あるいはコンドームを用いて感染の可能性をなくすことが大切である。

また、早期に治療を開始するためには、HIV抗体検査が必要である。

エイズは、アメリカをはじめ世界各地で患者や感染者が増加しており、現代医療の大きな課題といえる。各国でエイズ予防キャンペーンが繰り広げられている。


マラリア[編集]

詳細は「マラリア」を参照

マラリア原虫を媒介するハマダラカ

単細胞の寄生虫であるマラリア原虫が赤血球に寄生して起こる感染症で、発熱や悪寒、頭痛、吐き気などの症状をともなう。

熱帯・亜熱帯地域に多い感染症である。

日本ではおこりとも呼ばれた。

歴史的には、古代ローマ帝国の軍人ゲルマニクス、10世紀の神聖ローマ帝国の皇帝オットー2世、平安時代末期の平清盛、堀河天皇、ルネサンス期の文豪ダンテ・アリギエーリ、室町時代の僧一休宗純、日本陸軍の諜報員であった谷豊(ハリマオ)、イタリア出身の自転車選手ファウスト・コッピなどはマラリアによって死去した人物として知られている。

「東方遠征」で有名な古代マケドニア王国の王アレクサンドロス3世(大王)も従来はマラリアによる死亡と考えられてきた(近年、死因をマラリアではないとする学説が登場している。

詳細は「ウエストナイル脳炎」節を参照のこと)。

第二次世界大戦中に沖縄県、とくに八重山諸島で発生した集団罹患は「戦争マラリア」と呼ばれている。

蚊の中でハマダラカの一部の種だけが病原体を媒介する。

メスのハマダラカが感染者の血液を吸い、別の人を刺すことによって広がる。

効果的なワクチンはないが、抗マラリア薬で治療できる。

アフリカにおいては、現在、エイズ、結核と並ぶ3大感染症のひとつであり、視覚や聴覚を失うなどの後遺症で悩む人も少なくない。

感染者は毎年3.5億人から5億人にかけてと推測され、アフリカでは子どもの主要な死因のひとつになっている。

2008年3月にマスメディアに流れた情報によると、ケニア、ウガンダ、タンザニアにまたがるアフリカ大陸最大の湖ヴィクトリア湖は、年々水位が下がっており、係留していたと思われるボートが陸に上がってしまったり、湖岸であった箇所には幅10メートルないし20メートルの草地が続いていたという。

NASAなどの衛星観測データは、ヴィクトリア湖の水位がピークの1998年にくらべ1.5メートルも低下しており、1990年代の平均と比べても約50センチメートル低くなっていると伝えている。

その原因としては、降雨量の減少と下流にあるダムへの過剰な流出が考えられている。

干上がりかけた水たまりにハマダラカのボウフラ(カの幼虫)が泳ぐなど蚊の繁殖に好適な水域が広がり、従来はマラリアが非流行地だったケニア西部の高地にも多発する傾向が顕著となっている。

また、地球温暖化の影響でハマダラカが越冬できる地域が広がったことにより、感染地域が広がる危険性についても指摘されている。

日本もマラリア対策に協力しているが、そのひとつに伝統的な蚊帳づくりがある。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 838

Trending Articles