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朝鮮工作員は連日、原爆と同じウランの電気を照射中。
内部被曝[編集]
放射性物質を体内に取り込んだ場合の被曝を内部被曝という[19]。放射性物質を体内に取り込む経路には以下のものがある[20][21]。この場合、人体は物質が放射性物質か否かを区別しないで同じ扱いを行う[22]。
放射性の微粒子や気体を吸い込む(マスクを装着するか男性用の木綿ハンカチを八つ折りにした代用なら大きさが1から5ミクロンの微粒子の90%を除去する[23]。)(つまり呼吸)
放射性物質が付着した飲食物を摂取する (つまり食事)
皮膚や傷口についたまま洗わないでいると[21]、そこから吸収される(ヨウ素は、その放射性同位元素も含めて皮膚から取り込まれる)[22][24](つまり経皮吸収。皮膚接触)
放射性物質は、生物の体内に吸収されても尿や便に混じって排出されるものがあり、このことによって体内の量が半減する期間を体内半減期、あるいは生物学的半減期とよぶ[21]。これに対して、体内にある放射能の半減期を実効半減期といい、年齢や健康状態による個人差があるが、例えば物理学的半減期が約30年であるセシウム137は体外に排出されるため、実効半減期は約100日である[25]。
内部被曝の危険性[編集]
同一の放射性物質からの放射線に被曝する場合でも、外部被曝より内部被曝の方が危険な場合がある[26]。アルファ線は体外からの照射では、その大部分は皮膚の内側に達することはないが、体内にアルファ線を出す放射性物質が入ると、その周囲の細胞が照射されるため組織や器官の受ける放射線の量が大きく異なる[27]。透過力の弱いベータ線とエネルギーの低いガンマ線を出す放射性物質も外部被曝では影響を与える程ではないが体内にある場合の影響は大きくなる[26]。
生物学的半減期[編集]
詳細は「半減期_(薬学)」および「半減期#生物学的半減期と有効半減期」を参照 体内に取り込まれた放射性物質は、時間とともに原子核崩壊をして減っていくのとは別に、生物学的な作用により体外に排出されることによっても減っていく。いずれの場合も、一定の時間に一定の割合ずつ減少していくので、その減り方は指数関数的[注 3]であり、一定の時間ごとに半分に減っていく。原子核崩壊のみによって半分に減る時間を物理学的半減期(または単に半減期)といい、生物学的な排出のみによって半分に減る時間を生物学的半減期という[28]。 両方の効果を考慮した実効半減期Teffは、物理学的半減期をTphysとし、生物学的半減期をTbiolとして以下の式で計算される。
核種の違いによる被曝の特徴[編集]
体内に取り込まれた放射性物質がどのように振舞うかは、その元素の化学的性質により様々である。例えば、ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料として選択的に甲状腺に取り込まれ、第2族元素であるストロンチウムは骨中の同じく第2族元素であるカルシウムと置き換わって体内に蓄積することが知られている[29]。一方で、カリウムやセシウムは水に溶け込み全身の細胞内に広がる。このように、放射性物質の種類によって体内に摂取された後に存在する場所が変わる。 天然に存在する放射性カリウム、放射性炭素に関しては、これらが生体必須元素である関係上体内に保持される量はコントロールされており、放射性原子の数も一定に保たれている。カリウム、炭素の過剰摂取は即座の排泄、燃焼、摂食の低下などにより容易に是正される。したがって、大人の体内には約6000ベクレルのカリウム、炭素の放射性物質が一定量存在し続けている。一方で、体内に存在しないセシウム137を1年以上毎日10ベクレル摂取した場合は、生体半減期をふまえた上で約1400ベクレルのセシウム137が新たに体内に存在することになる[30]。
放射性物質が体内から排出されることもあり、体内の放射能としてのセシウムの実効半減期は約100日である[31]。 高田純によれば、セシウム7万7000ベクレル分を食事から取り込めば、これによる内部被曝の線量は1ミリシーベルトになるとしている[32]。なお、これはICRPが主張している線量換算係数を用いて計算を行ったものである。 体内に入ってしまった放射線物質を検査する一般的な方法として、ホールボディカウンターによってガンマ線を測定・分析する方法がある。しかし、これはガンマ線が人体を透過することを利用したものであるため、ガンマ線を出さない核種の測定は不可能である。 例えば、ストロンチウム90はベータ線しか出さず、その娘核種のイットリウム90も極稀にしかガンマ線を出さない[33]ため、検出できない。そのような核種による被曝を調べるには、尿などの排泄物を検査・測定し、推定することになる[34]。
内部被曝の防止[編集]
チェルノブイリ原子力発電所事故で甚大な被害を蒙り、内部被曝により病気になる人が多発したベラルーシやウクライナでは、食品中に含まれる放射性セシウムの基準値を定めて、基準値を超える食品を流通させないことで内部被曝を防止している[35][36]。(→食の安全#放射能と食の安全を参照) セシウム等の放射性物質を摂取後、速やかにプルシアンブルーを服用すると、消化管からの吸収を抑制する効果がある[37]。 放射性のエアロゾルまたは気体のある雰囲気中ではそれを除去できるフィルターを有した呼吸保護具等を装着しなければならない。ただし、内部被曝対策としてのマスク等の呼吸保護具は、外部被曝対策としては役に立たない[20]。 放射性物質が皮膚表面に付着しただけでは内部被曝とはならないが、閉じていない傷のある者は放射性物質の取り扱いを避けるべきである。また、手を汚染した場合は、その後の飲食、喫煙または化粧などによって汚染を体内に取り込む可能性が高い。したがって、放射性物質を取り扱う区域内では飲食、喫煙または化粧を行ってはならず、また取り扱いを中断・終了する時は必ず手に汚染がない
ことを放射線測定器で確認しなければならない。
細胞・遺伝子の被害と修復の過程[編集]
直接作用[編集]
電離放射線によるDNA分子の電離が直接にDNAの化学結合を切断するような作用を「直接作用」という[38]。
間接作用[編集]
一方「間接作用」とは、電離放射線によって水から反応性の高い・OH(ヒドロキシラジカル)などの活性種(水和ラジカル、Hラジカル、過酸化水素)が生成され、これらがDNAと化学反応することで損傷を引き起こすことである[38]。活性酸素の中でもヒドロキシルラジカルはきわめて反応性が高いラジカルであり、活性酸素による多くの生体損傷はヒドロキシルラジカルによるものとされている[39]。 間接作用ではDNA主鎖切断や、塩基障害、糖障害、酸化、水和化などの化学変化が発生する[38]。鎖切断には一本鎖切断と二本鎖切断がある[38]。一本鎖切断は正確な修復が可能であるが、二本鎖切断は修正不能や修正エラーを引き起こす場合があり、細胞死や突然変異の原因となる[38]。塩基への障害は直接、またはDNAの誤修復などを介して、これも様々な突然変異の原因となる[38]。これらは発ガンに関与し、遺伝的な影響に関係する[38]。このように損傷が修復できずに遺伝子に異常が残る時、細胞は自爆し消滅する[40]。なお、人体では数十個の細胞が失われて困ることはなく、異常な細胞が除か
れることはむしろ望ましいことである[41]。
ペトカウ効果[編集]
詳細は「ペトカウ効果」を参照 長時間の低線量放射線被曝の方が短時間の高線量放射線被曝に比べ、はるかに生体組織を破壊するペトカウ効果の発見は[42][43]、合計被曝線量あるいは線量率とその被曝結果は直線的な関係となるとするLNT仮説(後述[注 4])を見直す契機ともなった。
バイスタンダー効果[編集]
詳細は「バイスタンダー効果」を参照 また、放射線が1つの細胞を打撃した場合、打撃を受けなかった周囲の細胞の遺伝子も変性を受けることが明らかになっている。これをバイスタンダー効果という[44][45]。放射線に直接曝露された細胞とそうでない細胞(バイスタンダー細胞)間のシグナル伝達系が重要な役割を果しているとされる[46]。 なお、これまで報告された放射線誘発バイスタンダー効果による影響には、染色体異常、核分裂異常、突然変異、遺伝的不安定性、細胞死(アポトーシス)といった負の面が多かったが最近では増殖促進、分化誘導、放射線抵抗性及び温熱抵抗性の獲得という有益な影響が確認されている[47]。
高LET放射線と低LET放射線[編集]
α線や中性子線などのような、物質中を通過する際、飛程の単位長さ当りに失うエネルギーが大きい電離放射線のことを高LET放射線という[48]。高LET放射線による傷害の原因の大半は直接作用である[38][49]。アルファ線が細胞核に当たった場合、20%の細胞が死に、生き残った細胞もほとんどが異常となり、アルファ線が細胞質に当たった場合も、多くの細胞が異常細胞となる[50]。 一方、X線、γ線のような、物質中を通過する際、飛程の単位長さ当りに失うエネルギーが小さい電離放射線のことを低LET放射線という[51]。低LET放射線では、直接作用によるDNA鎖の切断と、間接作用による種々の塩基への傷害を起こす[38][49]。放射線等によってDNA分子に発生する構造の変化を「DNA損傷」と呼び、DNA損傷は低LET放射線の場合は直接作用より間接作用の方が多いとされている[52]。X線照射の場合、生物学的損傷の約1/3は直接作用、約2/3は間接作用の結果と考えられている[38]。
放射線の生物学的効果と細胞修復過程[編集]
以前は、放射線の影響はそのまま蓄積されるとされていたが、近年、被曝の影響は単純には蓄積されないことが明らかになっている[53]。放射線による生物学的効果は、同じ吸収線量でも放射線の種類や線量率(単位時間当たりの線量)によって異なる。短時間に高線量率で照射した場合に生じる生物効果に比べて、時間をかけ線量率を下げて照射すると生物効果は減弱する。これを線量率効果(dose rate effect)と呼ぶ。 線量率効果が顕著にみられるのは低LET放射線(エックス線やガンマ線)による生物効果であり、これは低線量率の場合は放射線による細胞の障害が照射中に回復するからと考えられている[54]。被曝によって発生する活性酸素は、生体の防御能力で消去され、DNA損傷が発生しても修復され、遺伝子に傷がある細胞ができてもがんにならないように自爆するという機能があるため、時間的に余裕があればあるほど影響は修復される[53]。たとえば、1年に1ミリシーベルトの割合で10年浴び続けることで計算上10ミリシーベルトになっても10ミリシーベルト分の影響があるわけではない[53]。
一方、高LET放射線(中性子線、アルファ線など)では低LET放射線のような回復は生じず、線量率効果はみとめられない。
また、稀に高線量率より低線量率の方が効果が大きくなる場合もあり、これを逆線量率効果と呼ぶ[54]。一例として、ラドンの被曝や[55]中性子線は低線量率被曝の方が生物影響が大きい[56]。 直接作用と間接作用による損傷の殆どは、修復酵素等によって修復されるが、損傷が十分に修復できなかった場合、生体防御機構としてアポトーシス(細胞が自ら死滅すること、細胞自爆)等がある。しかし、損傷を受けた細胞が完全に取り除かれるわけではないため、細胞の損傷はたいへん小さな割合ではあるが残存することになる[57]。線量率効果については現在でも十分に解明されていないため、放射線防護の立場からは、急性被曝の場合でも慢性被曝の場合でも、線量当量が同じならば放射線被曝によって受ける人体の影響は同じであると見なされる[58]。
線量・線量率効果係数[編集]
原爆被爆者の調査から一気に被曝した場合100ミリシーベルトで発がんのリスクが1%高まることがわかっているが、同じ100ミリシーベルトでも長時間、長期間かけて被曝した場合はリスクは減少する[59]。このような線量率効果の度合を線量・線量率効果係数(低減係数[注 5])と呼ぶ[60][61]。国連科学委員会は動物実験からその影響は2 分の1 から10 分の1 と推測しており、ICRP は安全サイドに立ち2分の1 としている[59]。
生体防御機能群[編集]
この節の正確性に疑問が呈されています。問題箇所に信頼できる情報源を示して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2012年3月)
発がん抑制のための生体防御機構
細胞は次のような防御機能を持っている[62]。まず細胞内で抗酸化分子を生産していること、DNAの修復機能があること、DNAのエラーごと細胞を廃棄する細胞死とアポトーシスがあること、および異端と判断された細胞を排除する免疫システムである[63]。なお、今日の放射線生物学者たちはこれらの防御機能が主に酸化攻撃に対応するものであり、放射線への対応は副次的としているが、米国科学アカデミーのBEIR委員会(電離放射線の生物学的影響に関する委員会)は対放射線防御と対酸化防御はまったくの別物であると主張している[64]。 放射線が当った場所には分解された分子の断片が残され、その中で反応性が高いラジカルと呼ばれるものは無傷の分子にも解離を生じさせるが、この反応は化学の領域に属するもので放射線と放射能は関与しない[65]。放射線が水分子に衝突すると水分子がOHとHに分かれ、・OH(ヒドロキシラジカル)という毒性の強い活性酸素が生じる[66][67]。中村仁信[68]によれば、運動・呼吸・食事によっても細胞ひとつについて1日10億個ほどの活性酸
素が生じており、これに対応する生体の活性酸素消去能力があるので微量の放射線による分の活性酸素を特別に危険視する必要はない[66]。細胞は抗酸化分子を使い、放射線により直接生じたラジカルあるいは上記のように放射線に起因した化学反応によって生じたラジカルを抑え込むが、この防御は酸化全般に対するもので放射線被曝に応じたものではなく、細胞間の情報伝達の仕組みは警報システムとして機能し、細胞を協調させ、警告が行きわたる[69]。 生体組織に放射線が当り、その影響を受けた分子は、細胞内における生物学的機能を果せなくなることが考えられ、このような損傷を引き起こすものには分子同士のランダムな衝突や酸化などの化学作用もあるが、放射線によって損傷が起こされる場合は影響を受けた分子が狭い範囲に集中する点が異なる[70]。細胞にはふたつのレベルにおけるコピーによる防御の機能があり、そのひとつは各細胞内で重要な機能を担うタンパク質のほとんどは複数のコピーが存在することであるが、このしくみは細胞が再生したばかりでコピーの数が最も少ないときは放射線に対する感知能力が最も高くなるというようにできて
いる[69]。タンパク質分子が損傷を受け機能を停止すると、無傷でいるほかの分子が役目を引き継ぎ、やがて傷ついた分子と無傷の分子の両方とも細胞の再生サイクルにより、何の悪影響も与えることなく新しい分子に置き換えられる[71]。 遺伝情報を持つDNAは、各細胞内に予備のコピーを抱えていないが、細胞そのものがコピーされること、さらに各DNAが属する細胞のみならず組織全体の完璧な情報を持つため不測の事態に対応できる[69]。DNAの鎖に起きた単独の破断を修復する酵素は各細胞にあり、しかもDNAが二重らせん構造をもつために1本の鎖が切れても全体はつながったままでいることから損傷の修復はミスなく行われる[69]。しかし発生頻度の低い、2本の鎖とも破断される場合には修復においてミスが起こる場合があり、別の防御策が必要となる[72]。活性酸素は細胞内DNAを損傷させ、普通の生活でもDNA損傷の数は1日当り数万から数十万個になるが、DNA損傷はすぐに修復される[73][74]。運動、過食、飲み過ぎ、紫外線、喫煙、ストレス、炎症などにより活性酸素は
一層増加し、その分DNA損傷も増える[73]。これに対して、中村仁信によれば、放射線被曝線量が1000ミリシーベルトであればDNA損傷の数は2000個、100ミリシーベルトであれば200個程度であり、被曝線量が100ミリシーベルト以下の場合のDNA損傷は自然の変動幅に埋没してしまう程度であるが、放射線だけで生体の防御能力を超えなくてもタバコ+ストレス+放射線というように発がんの原因が重複して生体の防御能力を越えることもある[40]。細井義夫によれば、X線あるいはγ線による1Gy照射(1000ミリシーベルト)では人の細胞1個についてのDNA損傷の量は塩基損傷が約6,400個、一本鎖切断は600から1,000個、二本鎖切断は16から40個、DNA-タンパク質間架橋は約150個である[75]。 細胞内の幾層もの防御機能が対応できない場合には細胞全体の活発な再生機能が守ることになり、組織化された浄化プロセスであるアポトーシスと呼ばれる機能によって細胞は自発的に死ぬこともあれば細胞間の情報伝達で死を促されたり、攻撃され
て死ぬこともある[76]。この防護機能の主な対象は、化学的な被害とランダムな破損であって電離放射線に特化したものではないが、重要な点は細胞間の情報伝達により特定の細胞が被害を受けたとか廃棄されるべきということが伝わり、免疫学的プロセスが不必要な細胞を排除することである[76]。人間には2万5千の遺伝子があるが、一定の数のDNA修復に関係する遺伝子、DNAの保護に関わる遺伝子があり、(アポトーシスを起させる)p53のような、最初のDNAを守っていたり、そういうところに関わる遺伝子を壊れるとガンになるということが分かっている。2万5千の遺伝子の中でどこがやられるかということは、極めて確率論的である[77]。放射線は腫瘍抑制遺伝子の不活性化因子として有効に働き、発癌の後期で進行因子の役割を果たすとする説がある[78]。 人体には通常においても放射性カリウムによる平均4000ベクレル分の放射能もあることから、人および動物は放射線障害に対して耐性(修復能力)を持っていると言える[79]。即死するか半数の人が60日以内に死亡する場合は全
身に4シーベルト以上の放射線を浴びたときであるが[80]、これをグレイに換算するなら放射線荷重係数が20であるアルファ線なら0.2グレイ、放射線荷重係数が1であるX線、ガンマ線、ベータ線なら4グレイである[81]。これらに比べ癌治療のために行われる放射線の照射[82]は英国の場合、乳癌であれば2.7グレイの照射を週5回の頻度で16回行うことが推奨されており、その合計の線量は42.5グレイとなり、また前立腺癌であれば2グレイの照射を週5回の頻度で39回行うことが推奨され、合計の線量は78グレイに及ぶ[83]。これらの量は1回で全身に浴びれば死亡するレベルをはるかに越えているが[80][84]、これほど大量の放射線を治療として使用できるのは照射を分割していることと全身ではなく必要な範囲だけに放射線を浴びせていることが主な理由であり[85]、線量の分散化はDNAの簡単な損傷を修復するための時間を健康な組織に与えている[86]。生物学の研究によれば年齢と部位による差があるものの、標準的な修復時間は数時間と考え
られているが[87]、一方、放射線治療(放射線療法)では事実上、その時間を1日と判断している。[88]。なお、癌治療における放射線治療は、局所的な照射であり、患者は治療期間において局所被曝を受け続けることになり、全身に対する照射でないだけに、生体に備わった軽減効果が小さくなっていると考えられる[89]。
放射線線量とリスクの数値化[編集]
被曝の程度は、被曝した放射線の線量によって表すことができる。放射線線量の単位系は、吸収線量と線量当量に大別することができる。 吸収線量とは、放射線が物体に与えた(物体に吸収された)エネルギーの量である(単位はグレイ(Gy))。 他方、線量当量は、放射線によって生体が受ける生物学的影響を表す量である(単位はシーベルト(Sv))。
吸収線量[編集]
詳細は「吸収線量」を参照 放射線が物体に照射されると、放射線のエネルギーの一部は物体に吸収される。被曝の程度を物体1kgに吸収されたエネルギーで表したものが吸収線量(absorbed dose)である。 単位は J(ジュール)/kgであるが、1グレイ(Gy)=1J/kgと定義し、吸収線量では「グレイ」(Gy) を使う。放射線の種類によりエネルギーの吸収度は異なる[90]。過去にはラド(rad)という単位も使われていた。1Gy=100radとして換算することができる。
線量当量[編集]
「シーベルト」も参照 放射線が生体に与える生物学的影響を考えるとき、それぞれの放射線の特性により同一の吸収線量(エネルギー量)でも影響が異なる。このことから、生物学的影響を共通の尺度で評価するために考案されたのが線量当量(dose equivalent)である。線量当量は吸収線量に修正係数を掛けることで求められる。単位はシーベルト(Sv)が使用されるが、レム(rem)もまだ使われており、1 rem = 0.01 Svと換算できる[91]。短時間の高線量被曝に対しては生物学的ガンマ線相当線量(単位グレイ・イクイバレント、GyEq.)が用いられる場合もある[92]。 線量当量には、局所臓器を対象とする等価線量と、全身を対象とする実効線量がある。
等価線量[編集]
詳細は「等価線量」を参照 等価線量(equivalent dose)とは、修正係数として放射線荷重係数を使用することで算出される線量当量であり、各臓器への個々の生物学的影響をはかるために用いられる[90]。すなわち、計算式は、以下の通りである。
等価線量 = 吸収線量 × 放射線荷重係数
放射線荷重係数は、放射線の種類によって値が異なり、X線、ガンマ線、ベータ線は 1、 陽子線は 5、 アルファ線は 20、中性子線はエネルギーにより 5 から 20 までの値をとる。
実効線量[編集]
詳細は「実効線量」を参照 実効線量(effective dose)とは、各組織・臓器ごとの等価線量に組織荷重係数を乗じて合計したものであり、体全体への生物学的影響をはかるために用いられる[90]。組織荷重係数とは、各組織・臓器における放射線の影響度(放射線感受性)の指標となる係数であり、各組織・臓器がどれだけ放射線の影響を受けやすいかという度合いである[90]。 計算式は、以下の通りである。
実効線量 =Σ(その臓器の等価線量 × その臓器の組織荷重係数)
= (生殖腺の等価線量 × 生殖腺の組織荷重係数) + (赤色骨髄の等価線量 × 赤色骨髄の組織荷重係数) + etc....
国際放射線防護委員会(ICRP)がこれまでに勧告した各組織・臓器の組織荷重係数は下表の通り[93][94][95]。なお、各個人の組織・臓器の係数の和は1であり、現行の国内法は1990年勧告の組織荷重係数を元にしている。
組織荷重係数
組織・臓器 組織荷重係数
ICRP103 (2007年) ICRP60 (1990年) ICRP23 (1977年)
生殖腺 0.08 0.20 0.25
赤色骨髄、肺 各 0.12 各 0.12 各 0.12
結腸、胃 各 0.12 各 0.12 項目なし
乳房 0.12 0.05 0.15
甲状腺 0.04 0.05 0.03
肝臓、食道、膀胱 各 0.04 各 0.05 項目なし
骨表面 0.01 0.01 0.03
皮膚 0.01 0.01 項目なし
唾液腺、脳 各 0.01 項目なし 項目なし
残りの組織・臓器 0.12 0.05 0.30
ここで注意が必要なのは、等価線量も実効線量も同じシーベルト(Sv)の単位で表しているために混同しがちであることである。例えば、被曝が皮膚のみで、その被曝量が100 mSv(等価線量)である場合、実効線量は、皮膚の組織荷重係数(0.01)をかけて、1 mSvとなる。被曝しきい値などの記述で実効線量と等価線量が併記されている場合は、それぞれどちらの線量を示しているのか確認する必要がある。組織荷重係数は小数点以下なので、実効線量は等価線量よりもはるかに低い値となることが多い。 なお、臓器・組織の線量を直接測定できないため、放射線業務従事者等の外部被曝の実効線量は通常は個人線量測定器の測定結果から法令等に基づく計算式で算出し、内部被曝の場合は実効線量係数を用いて算出する。実効線量係数とは、内部被曝の元になる体内に入ってきた核種からの被曝線量を算出する為の係数である。各放射性元素でもその化学形態で被曝量はことなり、また吸入か経口摂取かの違いでも異なってくる、等で換算係数には大きく幅がある[90][96]。 例) 単位は(mSv/Bq) Bqはベクレル
実効線量係数
核種 換算係数
三重水素 3H 1.8x10-8
ヨウ素131 131I 1.1 - 2.2x10-5
セシウム137 137Cs 1.3x10-5- 6.7x10-6
プルトニウム239 239Pu 9.0x10-6- 3.2x10-2