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狂犬病の疑いがある動物の症状と特徴…犬、熊、アライグマ…К

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狂犬病の疑いがある動物の症状と特徴
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狂犬病の疑いがある動物の症状と特徴


狂犬病が疑われた動物は、臨床診断を行う前に

(1)飼い主が明らかであるか、
(2)ワクチン接種が適切に行われていたか、
(3)過去に狂犬病流行地に滞在した期間があるか

などの「疫学情報」を正しく知ることが重要であり、診断には捕獲隔離後の注意深い経過観察が必要である。


狂犬病の発病経過には「前駆期」「興奮期」「麻痺期」の3期があると言われているが、「興奮期」の期間が非常に短く主として「麻痺期」の症状を示す場合がある。

また、動物では人と異なり、「恐水症」を示さない。

狂犬病を発症した動物の初期症状として最も重要な所見は「性格や行動の変化」である。

普段あいそのいい動物の気性が激しくなり噛みつく傾向を示したり、それまで親しくしていた飼い主の知りあい等を避けるようになったり、臆病であった動物が遠慮なく人に近寄るようになるなどが挙げられる。

一般に「前駆期」では、早期一過性の発熱、憂鬱、倦怠、恐怖心による興奮と飼い主に対する反抗、遠吠え、瞳孔散大、異物を好んで刺激に応じて咬む、被咬傷部の掻痒などが見られる。

自然感染した犬とネコの症状はほぼ同じであるが、ネコでは犬よりも「興奮型」を示す比率が高く攻撃性が一般的に認められる。

潜伏期は1週間から1年4カ月と多様(平均1カ月)であるが、いったん臨床症状が現れると死亡するまでの期間は短く15日を過ぎることはまれである。

ウイルスの唾液中への排泄は一般的に発症の3日前に始まる。

咬傷事故を起こした犬やネコを隔離した後に2週間以上の観察を行い狂犬病の発症が見られなければ咬傷を受けた人への暴露後発病予防の中止が可能となる。

この判断は家畜や野生動物には適用されない。

野生動物では、特に「行動異常」が最も重要な所見であり不自然に人と接触を試みる場合や夜行性の動物(コウモリ、アライグマ、キツネなど)が日中に現れる場合に狂犬病を疑う必要がある。

特に、挑発を受けていないのにも関らず攻撃を加えてきた動物は挑発を受けて攻撃を加えてきた動物よりも狂犬病である可能性が高いと考えられる(野生動物や家畜に餌を与えようとする行為は行為者の挑発行動と考える)。

狂犬病の鑑別診断において注意される疾患には、犬のジステンパーが第1に上げられるが、現在では血中のジステンパーウイルス遺伝子をPCR法により証明することが可能であり鑑別が容易と考えられる。

また、犬がジステンパー流行地域に生活していたかの情報は判断の一助になる。

これ以外には、中枢神経系に作用する薬物中毒(ストリキニーネ中毒、鉛中毒、有機リン中毒)が考慮される。

以下に、狂犬病を発症した犬とネコの臨床症状の特徴について列記する。


「犬の狂犬病」

1. 前駆期(一般に2〜3日の経過をとる)
・ 性格の変化と行動の異常(挙動不審、気まぐれ、過敏、疑い深い目付きをする)。
・ 恐怖心による興奮と飼い主に対する反抗。遠吠え。
・ 異物を好んで刺激に応じて咬む。
・ 被咬傷部の掻痒。
・ 性欲の亢進。
・ 早期の一過性発熱。
・ 憂鬱。
・ 倦怠。
・ 瞳孔散大。
2. 興奮期(一般に1〜7日の経過をとる:この期間が短く、すぐ麻痺期に移行する場合がある)
・ 落ち着きがなくなり興奮状態となる(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に噛む傾向を示す)。
・ 異嗜(小枝、わら、石、土などを食べる傾向の多発)。
・ 喉頭筋組織の麻痺によるほえ声の特徴的な変化(嗄声、長吠哀哭)。
・ 光や音(視覚、聴覚)の突然刺激に対する過敏な反応。
・ 流涎および咽頭筋肉の最終的麻痺による嚥下困難。
・ 顔貌の険悪化
・ 筋肉組織の攣縮
・ 角膜乾燥
・ 初回の痙攣発作中に死ななければ、麻痺段階に入る。
3. 麻痺期(一般に2〜3日の経過をとる:犬ではこの症状が最も多い)
・ 全身の麻痺症状による歩行不能(後躯の麻痺が良く観察される)。
・ 咀嚼筋の麻痺による下顎下垂とこれによる嚥下困難。
・ 舌を口外に垂らしながら流涎。
・ むせるような発生音(しばしば、犬ののどに物が詰まったと判断して人が取り除く行為を行いウイルスに暴露される)。
・ 昏睡状態となり死亡。


「ネコの狂犬病」

ネコにおける狂犬病の臨床像は、犬よりも攻撃性がより一般的に認められること以外は、多くの徴候が犬のそれと類似している。

1. 前駆期(一般に1日の経過をとる)
・ 性格の変化と行動の異常(正常な行動からの突然な変化:平常時に不機嫌ですねたネコがより機敏となり、落ち着きがなくなり、注意深く、親しげになる一方で、愛らしいネコが突然挑発されることなく引っかいたり、噛んだりして、うつ状態になり、暗い場所に引っ込んで隠れようとする)。
・ 性欲の亢進(雄ネコではペニスの持続性勃起が見られる)。
・ 瞳孔散大。
・ 結膜反射の消失。
2. 興奮期(一般に2〜7日の経過をとる:ネコではこの症状が最も多い)
・ 筋肉の緊張増加、筋肉の単収縮、全身の筋肉の震顫、筋肉衰弱、流涎、神経過敏、被刺激性、攻撃性の増加などの症状がひどくなる。
・ 目に入るものを頻繁に噛む傾向を示す。
・ 嚥下筋肉の麻痺により唾液がたまり流涎を起こす。
・ 痙攣は徴候が見えてからほぼ5日目に顕著となり後肢の麻痺が急速に進行する。
3. 麻痺期(一般に3〜4日の経過をとる:この段階が顕著な場合は、興奮期がないかもしくは極端に短く、犬で見られる典型的な下顎麻痺または顎脱落の徴候を示すものはまれである)。
・ 嚥下筋肉が早期に麻痺を起こすために飲食が困難となる。
・ 全身麻痺。
・ 徴候開始から3〜4日以内に昏睡して死亡する。

補足)付属書1「狂犬病の疑いがある動物の症状と特徴」(P. 60)は、ハワイと英国から報告されている狂犬病発生時の対策に関する報告書、「ハワイ州RabiesContingency Plan 2001」と「英国Memorandum on Rabies、Prevention and Control」の記載を中心に引用し、症状の詳細については、CDC狂犬病検査マニュアル「Laboratory Methods for Detecting Rabies」、南アフリカ共和国が制作した「ヒトと動物の狂犬病(狂犬病ビデオ)」、「獣医伝染病学」(清水悠紀臣、鹿江雅光、田淵 清、平棟孝志、見上 彪編集)「ヒトの狂犬病」(高山 直秀著)、日本で過去発生した狂犬病の病状を詳細に記述している「狂犬病予防読本」(近藤正一監修、原田雪松著)と「東京狂犬病流行誌」(上木英人)などの資料を参考にした。


付属書3. 動物に対する措置の選択の基準

次のいずれかの事項が認められる場合には、致死処分を選択する。

・狂犬病の疑いのある動物に人や動物が咬まれた場合
・狂犬病の疑いのある動物に麻痺性の発作が見られた場合
・所有者が致死処分に同意した場合


付属書4. 発見者からの聞き取り調査票

?.狂犬病の疑いのある動物についての聞き取り内容

1. 種類
2. 年齢
3. 性別
4. 品種
5. 毛色
6. 名前
7. 体格
8. 特徴
9. 犬の場合
1)登録年月日
2)登録番号
10. 狂犬病ワクチン接種の有無・実施時期
11. 動物の所有者名
12. 動物の所有者の住所、電話番号
13. 動物の現所在地
14. 発症日時・場所
15. 症状の詳細
16. 発症後の措置
17. 飼育状況(屋内飼育か、屋外飼育か、放し飼いか)
18. 動物の入手経路・時期(入手先の連絡先)
19. 他の動物との接触の有無、可能性
20. 海外渡航者、外国人との接触の有無、可能性
21. 輸入動物であるか否か(海外渡航歴のあるものを含む)。
輸入動物の場合、
1)検疫された場所
2)検疫された期間
3)一緒に輸入された動物の状況、所在
4)輸入検疫証明書の番号等
22. 獣医師からの報告の場合、
1)獣医師の氏名
2)獣医師の住所、電話番号
3)診断又は検案の日時、場所
4)診断の根拠
23. 野外における発見の場合、
1)発見場所の住所
2)発見者の氏名
3)発見者の住所、電話番号
4)発見時の状況
5)捕獲しているか否か


24. 死体の発見の場合、死体の措置

?.咬傷事故等があった場合の聞き取り内容
1. 事故発生日時
2. 咬傷被害者の有無
3. 引っ掻き傷被害者の有無
4. 事故は挑発によるものか否か
5. 事故発生場所の住所
6. 事故状況の概要

?.咬まれた被害者についての聞き取り内容
1. 被害者の氏名
2. 被害者の年齢
3. 被害者の住所、電話番号
4. 被害の部位
5. 被害の程度
6. 被害後の処置内容(傷口の洗浄の有無等)


?.狂犬病の疑いのある動物と接触のあった動物についての聞き取り内容

1. 接触動物の所有者の氏名
2. 接触動物の所有者の住所、電話番号
3. 所有者不明の場合、その所在及び状況その他、?を参考に聴取する。


付属書5. 咬傷被害者への治療

1)序
狂犬病は狂犬病ウイルスの感染によって引き起こされる致死的な人獣共通感染症であり、下記のような特徴がある。
? 有効な治療法がないため、発病すればほぼ100%死亡する
? 狂犬病患者の大半では潜伏期が1〜3カ月と長い
? ほとんどすべての哺乳動物が罹患する
? 地域によって狂犬病感染源動物が異なる(表1)
? 発病する前に狂犬病ウイルス感染の有無を知る手段がない


現在でも狂犬病ウイルスに有効な薬剤はなく、したがって狂犬病に対する特異的治療法はない。

狂犬病動物に咬まれた人々が狂犬病死を免れる唯一の方法は、咬まれたのちただちに狂犬病ワクチン接種を始めて長い潜伏期の間に免疫を獲得させる狂犬病暴露後発病予防である。

アジア地域では、都市部の犬の間で狂犬病ウイルスの伝播が繰り返されている(都市型狂犬病流行)。

ネコは犬に咬まれて狂犬病ウイルスに感染する。

ヨーロッパでは犬やネコへの狂犬病ワクチン接種により、犬やネコの狂犬病は制圧され、狂犬病ウイルスは森林地帯に棲むキツネの間で伝播されている(森林型狂犬病流行)。

アフリカや中南米では都市型流行と森林型流行がともに発生している。北米では森林型狂犬病流行が発生しているが、狂犬病患者のほとんどはコウモリに咬まれて発病している。

2)狂犬病危険動物に咬まれた人々への対応

動物咬傷の被害者に狂犬病ワクチンを接種する必要の有無は、咬まれた地域や加害動物の種類、咬傷の程度などに基づいて判断する(表2)。
2-1) 狂犬病常在地で咬まれた場合
狂犬病常在地で表1にあげたような狂犬病危険動物に咬まれた場合には、WHOが勧告している方法に従って処置を行う。
? ただちに傷口を流水と石鹸で十分に洗浄する。
? 70%エタノールまたはポビドンヨード液で消毒する。
? 組織培養不活化狂犬病ワクチンを初回接種日を0日として、0、3、7、14、30日の5回注射する。場合により90日に6回目の注射をする。
? 必要に応じて人狂犬病免疫グロブリン20IU/kgをできるだけ傷口に、残れば肩に注射する(表2)。

a. 齧歯類、家ウサギ、野ウサギに暴露しても、暴露後発病予防が必要になることはまれである。

b. 狂犬病発生が少ない地域では、加害動物が外見上健康な犬やネコであって、加害動物を経過観察できれば、動物に何らかの異常がみられるまで、暴露後発病予防開始を延期することもできる。

c. 10日間という観察期間は犬とネコにだけに適用できる。種の保存が脅かされている稀少動物を除いて、狂犬病が疑われる犬、ネコ以外の家畜や野生動物は、捕獲して致死処分とし、適切な方法で狂犬病の検査を行うべきである。

d. 顔面、頭部、腕や手に重度の咬傷を多数箇所受けた場合は第4類として別に区別すべきであるという見解がある。

2-2) 日本国内で咬まれた場合

日本では昭和32年以降狂犬病の国内発生が報告されていない。

国内で犬やネコに咬まれた場合、通常は被害者に狂犬病ワクチンを接種する必要はない。

咬傷の処置と2

次感染予防、破傷風トキソイドあるいは破傷風免疫グロブリンの投与を行えばよい。

ア)加害犬が発見でき、飼い主が判明した場合

1)加害犬に狂犬病ワクチン接種歴があれば、狂犬病発病予防の必要はない。
2)加害犬に狂犬病ワクチン接種歴がなければ、加害犬の観察を表3のように行う。
3)被害者本人ないし被害者の保護者が狂犬病感染を強く懸念している場合には、下記のように対処する。

? 日本では昭和32年以降犬の狂犬病も人の狂犬病も国内では発生していないので、加害犬が狂犬病である可能性は限りなくゼロに近いことを説明する。

? それでも狂犬病感染を危惧する場合は、加害犬に狂犬病の可能性がないことが判明するまでの期間狂犬病ワクチン接種による狂犬病発病予防を実施し、加害犬が健康であるという獣医師、狂犬病予防員、国立感染症研究所等の診断が確定した時点でワクチン接種を中止する。

イ) 加害犬が逃走して所在不明の場合

? 日本では昭和32年以降犬の狂犬病も人の狂犬病も国内では発生していないので、加害犬が狂犬病である可能性は限りなくゼロに近いことを説明する。

? 被害者ないし被害者の保護者が希望すれば、狂犬病ワクチン接種による暴露後発病予防を実施してよい。

ウ)ネコに咬まれた場合も、犬に咬まれたときに準じて対応する。

エ)アライグマに咬まれた場合

狂犬病ワクチン接種による暴露後発病予防を行うのが望ましい。

表3. 東京都における咬傷犬取り扱い基準

1) 咬傷事故が発生した場合の飼い主の義務
1-1) 被害者に適切な応急処置(傷の手当、必要に応じて医師受診と治療)を行う。

1-2) 新たな事故発生の防止措置(犬の隔離、収容、犬の隔離、収容できないときは動静監視)をする。

1-3) 飼養施設の点検修理、飼養管理方法の改善を行う。

(以上、動物の保護および管理に関する事務取扱要領 第10)

1-4) 事故発生時から24時間以内に、保健所へ届け出る。

1-5) 事故発生から48時間以内に、その犬を狂犬病の疑いの有無について開業獣医師に検診させる。

1-6) 検診の結果について、開業獣医師が発行する「検診証明書」により、保健所に報告(提出)する。

(以上、49衛生局環境衛生部長通知 第408号)

2) 咬傷犬の検診期間と回数

2-1) 飼い主のある咬傷犬は、開業獣医師が検診し、登録、注射済犬で、咬傷動機の明確な犬については、検診期間を1週間とし、検診回数を咬傷直後1回、1週後に1回とする。

2-2) 狂犬病予防注射を受けていない、または不明の犬の場合は、2週間後の1回を加え3回とする。

2-3) 飼い主不明の咬傷犬は、動物管理事務所に捕獲、収容し、同所の狂犬病予防員が2週間検診する。

(以上、49衛生局長通知 第246号)(以下略)

(東京都獣医師会編、45周年記念誌、123-124、1994)

アライグマは日本土着の動物ではないが、ペットとして輸入されたものが、野生化して住みついている地域がある。

米国ではアライグマ間の狂犬病が拡大して問題になっているが、日本の野生化したアライグマ集団内で狂犬病ウイルスが伝播されているという報告はない。

しかし、狂犬病ウイルスに感染していないという証拠もない。

したがって、日本国内でアライグマに咬まれた場合でも、狂犬病ワクチン接種による暴露後発病予防を行ったほうがよい。

[参考:海外で動物に咬まれた場合]

海外で動物に咬まれた場合でも、咬傷を受けた地域が狂犬病常在地であるか否かによって対処法が異なる。

ヨーロッパ諸国では、犬およびネコへの狂犬病ワクチン接種により、狂犬病は主にキツネなどの野生動物間にみられる(森林型流行)。

米国ではキツネ、スカンク、アライグマ、コウモリが狂犬病ウイルス感染源動物種である。

アジア地域では主に都市にいる野良犬の間で狂犬病ウイルスが伝播されている(都市型流行)。

アフリカでは犬やネコのほかにマングース、ジャッカルが森林型狂犬病伝播動物として重要である。

中南米では犬のほかに吸血コウモリが重要な狂犬病伝播動物である。

ア)犬およびネコ

アジア、アフリカ、中南米、欧米で犬やネコに咬まれた場合は、咬傷の消毒や2次感染予防だけでなく、狂犬病発病予防のために、狂犬病ワクチン接種を受ける。

咬傷が重度であれば、狂犬病免疫グロブリンの注射も必要になる。破傷風トキソイドの接種も受けるべきである。

たとえ、加害犬が飼い犬で、狂犬病ワクチン接種済みの証明書があっても、狂犬病暴露後発病予防は受けるべきである。

狂犬病ワクチン接種済みの、自分の飼い犬に咬まれて狂犬病を発病して死亡した例も報告されているからである。

欧米先進国で犬やネコに咬まれた場合にも、通常狂犬病ウイルス感染の危険はゼロではない。

咬傷を受けた地域での狂犬病発生状況により暴露後発生予防の必要性を判断すべきであろうが、飼い主不明の犬やネコ、狂犬病ワクチン接種証明書のない犬やネコに咬まれた場合は暴露後発病予防を受けたほうがよい。

イ)サル

狂犬病常在地でサルに咬まれて狂犬病に感染する可能性は数%以下と考えられるが、ゼロではないので、狂犬病暴露後発病予防を受けるべきである。

サル咬傷によって伝播される疾病としてBウイルス感染症がある。

Bウイルスに対するワクチンは開発されていない。

ウ)アライグマ

アライグマは北米大陸土着の動物であり、カナダ南部からメキシコまで分布している。雑食性であるため、生活環境が破壊されても人間が出す生ごみで生き延びることができる。

米国でアライグマは狂犬病ウイルス感染源動物としてスカンクを抜いて1位になっている。

人家付近や公園に現れたアライグマを撫でようとしたり、餌を手にのせて与えようとすることは非常に危険な行為であると考えるべきである。

現在まで米国でアライグマに咬まれて狂犬病を発病した症例はこれまで報告されていない。

しかし、これは咬まれるとただちに暴露後発病予防を行っているためであり、狂犬病ウイルス感染の危険を否定するものではない。

エ)マングース

マングース、中でもイエローマングースはアフリカでの狂犬病ウイルス保有動物として重要視されており、イエローマングースがいるところには必ず森林型狂犬病があるといわれているほどである。

したがって、マングースに咬まれたときは、迷わず狂犬病暴露後発病予防を受けるべきである。

オ)コウモリ

地域によってコウモリに咬まれた場合の危険度が異なる。

米国やカナダでは、昆虫や果物を餌としている食虫コウモリや食果コウモリの一部が狂犬病ウイルスに感染している。

1990年〜1998年に米国内で診断された人狂犬病症例27例中20例は、感染した狂犬病ウイルスの遺伝子解析結果からコウモリに咬まれて感染したものと推定されている。

中南米では吸血コウモリがウシなどに狂犬病を伝播して牧畜産業に多大な被害を与えており、人が吸血コウモリから狂犬病ウイルス感染を受ける被害も少なくない。

さらに食虫コウモリや食果コウモリも狂犬病ウイルスを保有していることがあるので、これらのコウモリに咬まれた場合には、狂犬病ワクチン接種による発病予防は不可避である。

南北アメリカ大陸に棲むコウモリと異なって、ヨーロッパに生息するコウモリの中には狂犬病ウイルスとやや性質の異なるウイルス(ヨーロッパコウモリリッサウイルス)に感染しているものがある。

こうしたコウモリに咬まれると人は臨床的に狂犬病を発病して死亡する。

また、アフリカのコウモリの中にも狂犬病ウイルスに類似したリッサウイルス(モコラウイルス、デュバンハーゲウイルス)に感染しているものがあり、人が咬まれて臨床的に狂犬病を発病して死亡したという報告がある。

オーストラリアのコウモリの中にも狂犬病ウイルスと類似のリッサウイルスに感染しているものがあり、咬まれた人が狂犬病で死亡したという報告がある。

したがって、ヨーロッパでもアフリカでもオーストラリアでも、南北アメリカ大陸と同様に、コウモリに咬まれたあとでは、狂犬病免疫グロブリンや狂犬病ワクチンによる狂犬病暴露後発病予防を受ける必要がある。

これに対して、アジア地域に棲むコウモリからはこれまで人に狂犬病を発病させるようなリッサウイルスが分離されたという報告はない。

カ)リス

上記のように、狂犬病常在地であっても、リスなどの齧歯類が狂犬病ウイルスに感染していることは少ないといわれているが、リスに咬まれるのは指先などが多いので狂犬病暴露後発病予防を受けたほうがよい。

(参考)
狂犬病暴露後発病予防治療の開始(または中止)を判断する際の参考として、以下にフローチャートを示す。
(引用文献)
Fearneyhough,G. Rabies postexposure prophylaxis: Human and domestic animal considerations.
In: Rabies: Guidelines for Medical Professionals.
Veterinary Learning Systems, a division of Medi-Media
Merialpp44-54 1999 ISBN 1-884254-47-0


付属書6. 狂犬病が疑われる患者への対応

狂犬病は、狂犬病常在地での滞在歴や動物による咬傷歴が不明である場合は、臨床症状から診断することは困難である。

狂犬病を、破傷風、ウイルス性または細菌性髄膜炎、脳炎、薬物中毒などと鑑別することは必ずしも容易ではない。

原因不明の神経症状を示す患者を診た場合には、

ア)海外渡航歴および海外での動物咬傷歴を確認する
イ)臨床症状を注意深く観察する

狂犬病の前駆症状のうち比較的特徴的なものとして、すでに治癒した古い咬み傷が再び痛んだり、傷口の周辺が痒くなることがある。

さらに進行した場合には、強い不安感、1日のうちに意識が清明になったり、混濁したりする症状、飲水をきらう症状(恐水症)、風が顔に当たるのをきらう症状(恐風症)などがある。

ウ)生前診断のための検査

発病以前に狂犬病を確定できる検査法は開発されていない。

狂犬病が疑わしい患者では下記の検査が行われる。

角膜塗沫標本または皮膚生検標本からの蛍光抗体法による狂犬病ウイルス抗原の証明 

唾液または髄液からの狂犬病ウイルス分離 

血液中ないし髄液中の抗狂犬病ウイルス抗体の証明は、抗体が発病初期には上昇しないので、生前診断のためにはほとんど役立たない。

また、ワクチン接種者では狂犬病ウイルス感染の証明が不可能である。

以下に、人の狂犬病の検査材料及び方法を示す。

検査法の概要
(参考)
地方自治体より国立感染症研究所への検査依頼については以下を参考にされたい。
「ウイルス行政検査について」
(平成12年 5月 8日  健医感発第43号)
「ウイルス検査について」
(平成 2年 2月13日 予研総発第33号)
(平成 9年 4月 1日 感染研総発第178-2号[一部改正])
(平成12年12月14日 感染研総発第638号[一部改正])


付属書7. 狂犬病と確定診断された患者への対応

狂犬病に対する特異的治療法はない。1980年代にインターフェロンが治療に用いられたことがあるが、無効であった。

狂犬病と診断された患者は数日ないし1〜2週の内に死亡するという運命を受け入れなければならない。

したがって、狂犬病という診断を告知する際には精神的な支援が可能になっている必要がある。

狂犬病患者の診察、看護および諸検査を行う医療職員はあらかじめ狂犬病暴露前免疫を受けておくが、患者が狂犬病と診断された時点で速やかに暴露後免疫を開始する必要がある。


付属書8. 狂犬病患者の家族への対応

上記のように狂犬病と確定診断された患者は近い将来必ず死亡する運命にあるので、家族に対しても精神的援助が必要になる。

また狂犬病患者の唾液を介して狂犬病ウイルスに暴露されている可能性もあるので、患者と接触した家族や友人には狂犬病暴露後発病予防を実施する。

参考1: 人の狂犬病の症状

人の狂犬病の経過は、潜伏期、前駆期、急性神経症状期、昏睡期の4期に分けられている。

潜伏期は、咬傷を受けた部位、咬傷の程度、衣服の上から咬まれたか素肌を咬まれたか、ただちに傷を洗浄したか否か、その他不明の要因によって左右され、15日程度から1年以上とばらつきが大きい。

患者の約60%では潜伏期が1〜3カ月であり、1年以上の潜伏期が7〜8%の患者で記録され、最長例は7年前にラオスで受けた犬による咬傷が原因で発病した米国への移民少女である。

前駆期は2日〜10日間で、発熱や食欲不振など非特異的症状に加えて、すでに治癒した咬傷部位が再びチクチク痛んだり、咬傷周囲の知覚過敏、かゆみなどが現れる。

知覚過敏や疼痛は求心性に範囲が広がり、咬傷を受けた上下肢のけいれんも起こる。

急性神経症状期は2日〜7日間続く。

患者は間欠的に強い不安感に襲われ、精神的動揺を示すが、それ以外のときは意識清明で医療職員にも協力的である。

患者の約半数に咽頭喉頭筋群のけいれんに起因する嚥下障害が起こる。

このけいれんには強い痛みを伴うため、患者は発作の原因となる飲水を避けるようになる(恐水症)。

また喉頭のけいれんは顔面に冷たい風が当たっても誘発されるため、患者は風を避ける(恐風症)。

さらに進行すると、高熱、幻覚、錯乱、麻痺、協同運動失調などが見られ、ときには意味不明の叫びや犬の遠吠えにも似た叫び声をあげることもある。

やがて全身けいれんなどが現れ、ついで昏睡に陥る。

昏睡期に入ると、低血圧、不整脈、呼吸不全などが起こり、やがて呼吸停止、心停止して死亡する(狂躁型)。

一方、恐水発作や恐風症を示さず、麻痺が主な症状となる狂犬病(麻痺型)も患者の20%程度あるとされている。

麻痺型狂犬病はポリオと誤診されることもある。

狂犬病の予後はきわめて不良であり、ほぼ100%死亡する。

現在まで回復例は3例報告されているが、うち1例は以前に狂犬病ワクチン接種を受けた研究者であったので、厳密な意味での回復例は米国での6歳男児とアルゼンチンでの45歳女性の2例のみである。


参考2. 現存人体用狂犬病ワクチンの種類


付属書 10. 確定診断のための検体送付方法等

(参考:CDC狂犬病検査マニュアル「Labo r a t o r y Methods for detecting Rabies」、「ハワイ州 Rabies Contingency Plan Incident Command System 2001」、「英国Memorandum on Rabies、Prevention and Control」および「国立感染症研究所、病原体等安全管理規定」)


「(A)検体送付方法」

概要

原則として、直接検査機関へ持参(輸送)する。狂犬病が疑われた動物は、致死処分後速やかに頭部を切り離し検査可能な施設へ冷蔵状態(氷上もしくは4℃)で直ちに輸送する。

コウモリ、マウス等の小動物、実験動物の検体を送る場合には解剖を行わず全身(もしくは頭部)を直接輸送する。

致死処分後の動物死体もしくは頭部は、外部寄生体をクロロホルム処置により麻酔・殺処理して除去しておく。

また、致死処分時には、頭部への障害を加えないように注意を払う。

切り放した頭部は、液漏れのしない密閉容器にいれた後にビニール袋で3重包装とする。

3重包装された袋は氷詰めにして(1)宛先、(2)送り主、(3)データシートに検体の内容と必要事項を明記して輸送する。

頭部切り離しに関する注意点

致死処分された動物は、体液・皮下組織の飛散に十分注意して頭部を体幹から切り放す。

頭部は、頚部腹側の皮膚を切開して第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)を繋ぐ皮下組織、筋肉、靭帯、関節包、脊髄を切断して両関節面を遊離させる。

使用器具は解剖後に消毒液に入れてオートクレーブで滅菌処理して最後に洗剤と温水で洗浄する。

動物の残骸はタオル等に包み、焼却処分用のビニール袋に入れる。

作業面及び床等を消毒液で拭き、洗剤と温水で洗浄する。

なお、頭部から脳を摘出する場合には、「付属書10.確定診断のための「(B)脳の取出し方」」(P. 90)にしたがう。

採材した感染脳材料の梱包

(1)体積が50ml未満:材料を液漏れのしない密閉容器
(1次容器:ポリプロピレン製のチューブ、ガラスの小ビン等)に入れてしっかり閉ざし、これを別の耐久性ある液漏れのしない密閉容器に入れる。複数の1次容器を、その総体積が50mlを越えない範囲で、1個の2次容器に入れてもよい。1次容器と2次容器との間の上部、底部、側部の空間には、1次容器(単数または複数)が万一壊れたり漏れたりした場合に漏れた液体等を十分吸収可能な吸収剤を詰める。次に、1次容器と2次容器の各セットを波状繊維板、段ボール紙、木製、または同等の強度を持つ他の材料製の輸送用外装容器に入れる。

(2)体積50ml以上:体積が50ml以上の材料を梱包する場合は、2次容器と輸送用外装容器との間の上部、底部、側部の空間に、1次容器と2次容器の間に詰めた吸収剤と少なくとも同等の体積の衝撃吸収材(ペーパータオル等)を詰める。個々の1次容器には500ml以上の材料を詰めてはならない。しかし、2個以上の1次容器の合計体積が500mlを越えないものは、それらを1個の2次容器に入れてもよい。1個の輸送用外装容器には2次容器を8個まで入れてよい(この1個の輸送用外装容器の最大収容量は4000mlを越えてはならない)。

(3)ドライアイス:冷凍剤としてドライアイスを使用する場合は、2次容器の外側に置く。2次容器と輸送用外装容器との間にドライアイスを使う場合は、ドライアイスが昇華しても2次容器が輸送用外装容器内で緩むことがないように、衝撃吸収剤をいれなければならない。

注)検体の処理は原則として周囲と区画された専用の部屋で行い、担当者は狂犬病ワクチンを接種して規定値以上の抗狂犬病抗体価を保持していることが求められる。必要に応じて追加免疫を行う。検体の取り扱いに際しては組織等の飛散に十分注意を払い、中枢神経系組織、体液、特に唾液に接触しないように注意する。検体の頭部と体を取り扱う場合には防護用の手袋とマスクを着用する。(その他「ウイルス暴露を防ぐための環境」(P.107)を参考とする)。


検査材料輸送に際しての注意点

(1)複数の検査材料(検体)は必ず個体の区別を明かとした状態で輸送を行う。輸送にあたっては郵政省告示第760号(平成2年12月28日号外)に基づいた包装を行い感染性を明示する(図1)。

(2)検査材料は解剖及び生検後(4時間以内)すみやかに冷蔵状態(氷上もしくは4℃)とし、温度管理を十分に行い直ちに検査室へ輸送する。

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